ウォーレン・バフェット
投資スタイル紹介TOP>>ウォーレン・バフェット>>消費者独占企業を見極める8基準--2--消費者独占企業を見極める8基準 --2--
3.EPS(1株あたり利益)が力強い上昇傾向にあるか
たとえ素晴らしいブランド商品であっても、その会社全体の経営がまずければ、EPSは非常に不安定になりかねない。
ウォーレン・バフェットはEPSの実績値がしっかりした水準で保って、力強く増加し続けてきたかどうかを重視する。
調べたい企業のEPSの推移は、A社、B社どちらだろうか?
年 | A社 (ドル) |
B社 (ドル) |
1990 | 1.07 | -1.57(赤字) |
1991 | 1.16 | 0.06 |
1992 | 1.28 | 0.28 |
1993 | 1.42 | 0.42 |
1994 | 1.64 | -0.23(赤字) |
1995 | 1.60 | 0.60 |
1996 | 1.90 | -1.90(赤字) |
1997 | 2.39 | 2.39 |
1998 | 2.43 | -1.25(赤字) |
1999 | 2.69 | 0.99 |
もちろんバフェットが注目するのはA社のほうだ。
A社のこれまでの利益の実績を見ると、ひとつあるいは複数のブランド製品を持っているだけではなく、経営陣がそれを懸命に活用して大きな価値を実現する可能性があることを示唆している。
消費者独占企業に対する絶好の買い場は
株式相場全体が大きく落ち込んだ時
企業の業績が一時的に悪化して株価が売り込まれた時
である。相場全体が低迷している局面は、判断がつきやすい。
しかし、その企業の業績が落ち込んだために株価が売り込まれているケースは、より慎重な判断が必要になる。
4.現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
一般に消費者独占企業は、内部遊歩利益を固定資産の手直しや新製品開発に投入する必要はあまりなく、非常に高収益の既存事業をさらに拡大させることができる。
ウォーレン・バフェットが消費者独占企業を好むのは、自由に使える内部留保利益があることで、不測の事態に備えられるだけでなく、長期的に株主価値の増殖が期待できるからなのだ。
注意しなければならないのは、
- 利益をあげ
- 内部留保する余裕があり
- 内部留保の大きな割合が単なる現状維持のための再投資(設備など)だけに終わらない
ということである。これらの条件が揃わなければ、いくら利益をあげても株主価値の増加は難しい。
ウォーレン・バフェットは常に、設備更新や研究開発のための再投資負担の少ない、消費者独占企業を探している。 製品が陳腐化しにくく、製法は単純で、ほとんど競争相手のいないタイプの企業である。
町でたった一つの新聞、キャンディーのメーカー、ヒゲソリの刃のメーカー、ビールメーカーなどがウォーレン・バフェットのお気に入りである。いつの時代にも、消費者の好みが変わらないタイプの製品を提供する企業の将来は予想しやすく、収益見通しも確実である。
5.内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか
長期投資を目指す投資家にとって、おそらく最も重要な問いかけは、その企業の経営陣が内部留保益を懸命に再投資できるかどうかということではなかろうか。
なぜ自社株買戻しが株価上昇につながるのか?
例えば3人の仲間で始めた会社があって、それぞれが株式の3分の1を所有しているとしよう。
パートナーの一人が持ち株を売りたいというので、会社の資金を使って買い戻したとする。
この結果、残りの二人の持ち株は発行済み株式の2分の1づつに高まり、将来の利益は二人で半分づつ分け合うことになる。
これと同様の理屈で、自社株買戻しは残った株主の将来の取り分を高めることになり、それを反映して株価は上昇し、株主は報われるのである。
ウォーレン・バフェットはいったん消費者独占型企業の株を割安に購入した後は、それをポートフォリオの奥深くにしまいこみ、内部留保が着実に増加し続けるのをただ見守っているのだ。
ウォーレン・バフェットはいつでも「複利」の効果を見方につけている。